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更新日 2022.02.042022.01.01研究レポート
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ニューノーマル時代において、テレワークは多様な働き方の一つの選択肢として有力視されている。一方、コロナ禍で一時的に導入した企業からは社内コミュニケーションの減少の懸念から本格導入にためらう企業も少なくない。本研究では、コロナ禍前後で実施されたGPTW調査からテレワークを実際導入している企業を対象に、特に縦(経営・管理者層と従業員間)・横(職場全体)のコミュニケーションの実態に着目し、テレワークの成果実感について考察した。テレワーク環境下でも働きがいの高い組織であるための条件を探る。
新型コロナウイルス感染症の流行前との変化を確認するため、流行前の2020年版調査(実施期間:2018年10月~2019年9月)と流行後の2021年版調査(実施期間:2019年10月~2020年10月)の2年度連続で調査を実施した企業のデータを用いた。そのうち、2021年版調査でテレワークを導入していると回答のあった164社を分析対象とした。「会社へのアンケート」において聴取した「テレワークに対する成果実感」別に、「働く人へのアンケート」結果を分析し従業員の働きがいの実態を確認した。テレワーク成功のポイントはコミュニケーションにあると考え、職場のコミュニケーションを縦(経営・管理者層と従業員間)のコミュニケーション、横(職場全体)のコミュニケーションに分けてテレワークの成果実感にどのような関連性が見られるのかを考察した(図表1)。
ここでテレワーク環境下の縦・横のコミュニケーションの促進に向けて、ベストカンパニー(GPTWが認定している「働きがいのある会社」)における工夫をいくつか紹介したい(図表8)。
縦のコミュニケーションの促進に向けては、“双方向型”がポイントとなる。経営・管理者層と従業員がオンラインでもお互いにやりとりできる工夫が見られる。大人数が集まる会議では事前に質問を収集し、またその場でもチャット欄を通じて意見出しをどんどんしてもらうなど従業員の理解支援、不安解消のために丁寧な気配りをしている。上司との個別の面談においては上司が一方的に業務の進捗を確認したり、話続けたりするのではなく、雑談などを交え和んだ雰囲気をつくりながら部下の話を引き出し、聴くことに徹するなど従来型のやり方にこだわらず一歩距離を縮めるような工夫をしている。
横のコミュニケーションの促進に向けては、“全員参加型”がポイントとなる。社内の人脈を広げてもらえるよう全社に開かれた自由参加型のイベントを提供している。始業前やランチタイムといったちょっとした隙間時間を利用し大小多彩なプログラムを提供することや、特に新人など社内交流の経験が浅い従業員を巻き込んで仕掛けているのが特徴だ。対面の場ではある程度自然に形成されてきたネットワークを意図的につくっている様子もうかがえる。また身近な職場の上司・同僚との関係性を深めるために、業務とは関係がないようなテーマについて全員参加型で数時間じっくりと話し合う機会も有効だ。コロナ禍だからこそ、互いの強みを認め褒め合うような細やかな心遣いが、個人と職場との結びつきを強める。
ニューノーマル時代には、従業員に新しい働き方を提供しつつ、働きがいも高めていくというチャレンジが経営に求められる。新しい働き方の代表格であるテレワークは、コロナ前であれば制度があること自体が他社との差別化にもなり得たが、コロナ禍では、業績や生産性における成果実感も問われている。
今回の研究を通じて明らかになったのは、テレワーク環境においても働きがいを高く維持することができるということだ。うまくいっている企業は、経営・管理者層との縦のコミュニケーションを双方向型で一層強化し、また職場全体の横のコミュニケーション、仲間意識については、全員参加型の新しい方法を試行錯誤している。
従業員の働きがいが高いということは業績や生産性においてもポジティブな成果が期待できるであろう。ベストカンパニーの事例に学び、テレワーク下でも働きがいの高い組織をつくる企業が増えてくることを期待したい。
GPTWでは、企業が従業員の働きがいを高めていくには、働きやすさ(労働環境・休暇のとりやすさ等)とやりがい(仕事に対するモチベーション、会社への誇り等)の両方を意識して高めていくことを推奨していますが、働きやすさの方がやりがいより高めやすいと感じられているようです。
理由の一つとして施策の着手容易性があるでしょう。労働時間の削減、休暇取得推進など、やるべきことがある程度定型化していて、会社や人事部がトップダウンで進めていけることもあります。
実施後の効果が見えやすいということもあります。実際、過去3年間の調査結果をみると、働き方改革の影響もあり、働きやすさの指標は年々上昇しています。各企業による会社設備・施設の改善、制度改革といった具体的なアクションが従業員の高評価を反映しているといえます。
なぜ従業員のやりがい向上には難しさを感じてしまうのでしょうか。一つにはどんな施策を行ったらよいのかすぐにイメージがしにくい、効果を出すにも一定の時間がかかるのではという懸念がありそうです。
実際、働きやすさを高める施策がどの会社もある程度共通であることに対し、やりがいについては他社のやり方を真似してもうまくいかないことが多いのです。自社の従業員がどんなことにワクワクするのか、なにが得られたらモチベーションが高まるのか、会社で働く目的や想いは従業員一人ひとり異なるだろうからやりようがない、他社の事例を参考にしても自社に合う優先課題が決められないという声もよく聞きます。
そこで、働きやすさはまだ十分に整っていないものの、やりがいはとても高い「ばりばり職場」(下参考図)について少し触れたいと思います。一般的にやりがいを高めていくことは難しいとされているにも関わらず、これらの会社は“働きやすさよりも、やりがいが高い状態になっている”のです。一体なにが違うのでしょうか。
※“働きやすさ”と“やりがい”を2軸にとり、それぞれの高低から職場を4つのタイプに分けています。詳細はこちら
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